養育費

養育費の不払い/自営業の強制執行はできるのか?

離婚公正証書で養育費を取り決めした場合、元夫が養育費を払ってくれなくなってしまったら給与の差押えをする強制執行手続きが可能となります。

会社員や公務員の場合は給与を差押えすることができますが、ここで疑問になるのが決まった給与がない自営業やフリーランスの場合にはどうなるのか?ということです。

自営業やフリーランスの場合は給与の代わりに何を差し押さえることができるのでしょうか?

それでは自営業の元夫が養育費を支払ってくれない場合の対処方法について確認をしていきましょう。

離婚前から財産把握の準備をする

元夫が自営業の場合は、差押えする財産を特定しておく必要があります。

強制執行で相手の財産の何を差し押さえるのかについては、申し立てる側が特定する必要があり、裁判所が相手の財産を調べて差し押さえてくれるわけではありません。

離婚をした後で養育費を払ってくれなくなってから相手方の財産を調べるのはとても難しい状況になります。

自営業の夫と離婚を考えている方は、まず離婚の前から夫の財産を調べておくことをおすすめいたします。

ネットバンキングや株の取引きをしている場合はメールで取引先から連絡が来ることはあります。銀行口座や証券口座を新しく作った場合は書留郵便や本人限定受取郵便でキャッシュカードや取引のIDが届くこともありますので同居中に夫の様子を深く観察して取引先を調べておくと良いでしょう。

差押えできる財産

自営業の場合は会社に勤めているわけではありませんので「給与」がありません。

給与の代わりに差押えできるものの代表例は下記のようなものです。

・個人名義の預金口座(会社名義の口座はNG)
・土地や建物等、元夫名義の不動産
・高価な動産(時計や宝石、指輪など)
・有価証券(株券や手形、小切手など、禁止事項や制限あり)
・元夫名義の自動車

実際に差押えが可能なものかどうかの判断は弁護士さんに相談をすることをおすすめいたします。

上記のような差押えできる財産がなければ、養育費の不払いが続いても差押えする財産がないという状況になりますので、離婚前に相手の財産を把握しておくことは重要です。

離婚後は財産を隠す可能性がある

前述したように、差押えが可能な預貯金や不動産等は原則、元夫個人の名義のものが対象になります。
 
その為、この事情を知っている人は、離婚後は両親の名義の通帳にお金を移動したり、再婚相手や恋人の名義に変更してしまい、強制執行の対象財産を無くしてしまおうと考える人もいます。

やっている事は許されることではありませんし、かなり悪質ですが、実際に財産を隠されてしまうと財産の特定はかなり難しくなりますので注意が必要です。

公正証書があれば財産開示手続きができるようになった

2020年4月1日に改正民事執行法が施行されました。

改正前は公正証書で養育費を決めていても、財産開示手続の申立てをすることができませんでしたが、改正法により財産開示手続を利用できるようになりました。

以前に比べると預貯金を調べることのハードルは下がったとは思いますが、それにしても自分の名義ではなく他の人の名義の口座にお金を移している場合は財産を探すことが難しい状況には変わりありません。

しかし、自分の名義の別口座にお金を移動させている人もいますので、財産開示手続きが全く意味がないというわけではありません。

自分名義の口座を取引をしたことのない銀行に新しく作ったり、ネット銀行ならバレないだろうと考えている人もいますので、離婚公正証書を持っている方で元夫の養育費不払いがある方はこちらの申し立てを検討しても良いと思います。

探偵事務所に依頼をする

離婚する時は自営業でも、離婚後はもしかすると会社に勤めているかもしれません。勤めている会社がわかれば、給与を差押えすることができます。

離婚後の元夫の状況を把握するには探偵事務所にお願いをするのが良いでしょう。
自営業でも探偵事務所にお願いすることで、取引先の銀行や仕事をもらっている会社などがわかるかもしれません。

事前に探偵事務所に相談し、どのくらいまで調べることができるのか相談してみると良いでしょう。

離婚公正証書は大切

財産を隠された場合は、強制執行する財産の特定は難しくなります。

しかし、逆に言うと財産が見つかれば、公正証書があれば強制執行手続きが可能になるということです。

離婚公正証書がない場合は、まずは養育費を請求する調停からはじめなければならずとても時間がかかります。

また、自営業でも個人名義の口座に現金がある方もいますので、一概に自営業だから強制執行手続きができないというわけではありません。

養育費や慰謝料の取り決めがある場合は離婚公正証書を作成することをおすすめいたします。

養育費を払わず逃げそうな場合

財産隠しをしてまで養育費から逃れようと悪質な事を考える人は離婚の話し合いの時点で「養育費は払わない」ような発言をしていると思います。

また、自営業でも収入が安定しておらず収入が十分とはいえない場合も養育費の支払いから逃れようと考える人もいるでしょう。

このように、毎月定額の養育費支払が信用できない場合は、離婚時の財産分与で将来の養育費分もまとめて一括でもらって調整をする方もいます。

本来は養育費は一括でもらうものではなく、毎月〇円と決めて毎月の生活のために使うお金ですが、夫婦の話し合いで離婚時に一括でもらって離婚後はもらわないと決める方もいます。

離婚後の支払いがあてにならない、財産隠しをして逃げそうな場合はもらえる時にもらっておくというのも一つの選択でしょう。

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