配偶者の不倫が発覚しても、離婚をせずに再構築を目指す夫婦も少なくありません。
不倫をしていた配偶者が、不倫はあくまで遊びであった。間違っていた。と認めている場合もあります。
そのような場合には不倫はもうしないと口約束をするだけではなく、夫婦間の不倫誓約書として約束した事を細かく書面に残す場合もあります。
この記事では夫婦間の不倫誓約書を作成する場合のメリット・デメリットと作成する場合のポイントを解説していきます。
夫婦間の不倫誓約書とはどんなもの?
夫婦間の不倫誓約書に書かなければならないものはありません。
あくまで夫婦間の約束ですのでケース毎に内容は様々です。
不倫をされた側としては、今後の生活に不安を持ちたくないという理由から細かく何個もの約束を盛り込む方もいますし、数個の約束の方もいます。
内容は夫婦の関係性や、夫婦それぞれの性格によっても変わるでしょう。
しかしながら、いくら不倫が原因だといっても、今後も離婚せずに再構築を目指すことが目的なのですから、不倫をした配偶者が不倫をされた配偶者の要求に一方的に従うような誓約書にサインをさせたとしても抑止の効果が薄れてしまうこともあります。
しっかりとお互いが納得する文章で作成することが何より大切だと思います。
不倫誓約書で大切なのは不貞行為の事実確認と謝罪の文言
不倫誓約書で大切な項目は不貞行為の事実を認めて配偶者に謝罪をする文章です。
不貞行為を一旦は自白をしたり、認めたりするものの、後に不貞行為の決定的な証拠が無い事を知って配偶者が手のひらを返したように不貞行為や不倫の事実を否定してくる事も考えられます。
誰かに入れ知恵されたり、自分でインターネットで検索したりすることで、逃げることができると思った途端に逃げる人もいるのです。
そういった行為を防止するためにも不倫誓約書で不倫相手の名前もはっきりさせたうえで不貞行為の事実を認め、謝罪をする文章は重要な意味を持ちます。
夫婦間の不倫誓約書の効力は?
民法には、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」(民法754条本文)という規定があります。
この条文があるので、もしかしたら不倫をした配偶者は、夫婦間の不倫誓約書は約束しても効力がないと思っている人もいるかもしれません。
しかし、上記の条文は過去の判例などから、夫婦関係が円満なときの契約と円満なときの取り消しは認められるが、夫婦関係が円満ではないときや、夫婦関係が破綻の危機になっているときの契約の取り消しは認められないともされています。
誓約書の内容が取り消すことができないのか確認したいという方は、夫婦の状況や誓約書に記載したい内容をまとめて弁護士さんに相談することをおすすめ致します。
また、下記のような公序良俗に反する内容や、一般的な常識を逸脱した内容、あまりに配偶者の人権を侵害するようなものであると契約は無効とされるので注意が必要です。
・私が連絡をしたらどんな場合でも5分以内に必ず返事をすること
・今後は私の言う事に絶対に従うこと
・GPSをつけること、電源を切ることはいかなる場合でも許さない
不倫誓約書を作成するメリット
離婚の交渉で有利になる
誓約書作成後に、不倫した配偶者がやっぱり離婚をしたいと離婚の意思を示してきた時に、「あなたは不貞行為をした人なので、あなたからの離婚請求は拒否します!!」と、離婚請求を拒否する証拠にすることができます。
(別居期間や夫婦の状況などで不倫をした配偶者からの離婚請求が認められる場合もあります。)
また、逆に、不倫をされた側の配偶者が再構築を頑張ったけれど、やっぱり不倫をされたという記憶が消えず、離婚をしたいと考える事もあるでしょう。
その場合は逆に不貞行為の証拠があることで、離婚の申出が認められやすくなるということもあります。
不倫の再発を抑止する効果
不倫をした人の約半数がまた不倫をするという調査結果もあるほど不倫は繰り返すことも珍しくありません。
夫婦の再構築を目指すためには不倫の再発を抑えることが大切ですし、不倫をされた側としても「もう不倫はしない」という約束を書面化することで心のお守りになることもあります。
再度不倫をしないことはもちろんですが、また不倫をした場合には慰謝料を〇〇円払うというように金銭的なペナルティを設定することで、不倫をした事の重大性を認識し不倫の再発抑止につながることも十分に考えられます。
不倫誓約書を作成するデメリット
不倫をした配偶者の性格によっては「こんなもの作らなくても約束は守る!」という人もいます。
夫婦間の不倫誓約書を作成する前に、配偶者の性格を考慮してどのように誓約書の作成について話をするのかの計画を立てることはとても重要です。
話の仕方によっては、不倫した配偶者がへそを曲げてしまい「こんなもの作成するくらいなら離婚だ!!!」と離婚をしたい気持ちに傾く可能性があります。
不倫をしたのに逆ギレをする相手はいかがなものかと思いますが、今すぐ離婚できない理由がある場合は不倫した配偶者の機嫌を不必要に損ねないように接することも時には必要です。
不倫誓約書を書くことは強要してはいけない
書面の内容はすべて不倫をされた配偶者が作成し、不倫をした配偶者の意見は何も聞かず「この書面にサインしなければ会社に不倫のことを話すよ」などと、相手を脅したり脅迫したりしてサインをさせてはいけません。
仮にこのような状況でサインをさせたとしても、相手方は取り消すことができます。
場合によっては不倫をされたあなたのほうが不利な状況になることもありますし、今後も離婚せずに夫婦としてやっていくのであれば、冷静にしっかりと話し合い、お互いに納得できる内容で誓約書を作成することを目指しましょう。