不倫の慰謝料を請求する際に重要になってくるのが「婚姻関係が破綻しているかどうか?」ということです。
不倫相手や不倫した配偶者が慰謝料を払わないと反論してくるときは、「婚姻関係が既に破綻していたから」と主張してくることが多いでしょう。
実際のところ、婚姻関係の破綻は裁判所が個別のケースで判断をすることになりますが、この記事では婚姻関係の破綻が認められやすいケースについて解説をしていきたいと思います。
婚姻関係の破綻はハードルが高い
不倫相手が「婚姻関係は破綻していると聞いていた」と主張してくるケースがあると思いますが、婚姻関係の破綻は思ったよりもハードルが高いものです。
小さな事で離婚請求が認められてしまっては離婚したいと思った側が有利になってしまうでしょう。
夫と妻が同居しており、生活を共にしている状況で婚姻関係の破綻を証明するのはなかなか難しいものがあるのが現状です。
婚姻関係が破綻していないケース
下記のような状況であれば婚姻関係が破綻しているとは言えない可能性が高いでしょう。
・妻や夫の作った食事を家族全員で食べている
・家族の行事がある
・家族で旅行にいったり休日に買い物に行ったりしている
上記のようなことがあれば「離婚したい!!」と大ゲンカをしても夫婦関係が破綻しているとはいえないでしょう。
既婚者は不倫相手に「家庭内別居状態」と嘘をつくことが度々ありますが、本当の家庭内別居というのは下記のような場合です。
・夫婦の会話が全くない
・夫婦のお財布が別々
・夫婦の夜の生活が全くない
上記のように家庭内別居状態が長期間続くと婚姻関係が破綻していると認められる可能性があります。
婚姻関係の破綻が認められる可能性があるケース
上述したように婚姻関係の破綻が認めれられるには、かなりハードルが高いのが現状です。
婚姻関係の破綻が認められやすくなる可能性があるパターンを3つあげてみました。
別居期間が長期にわたっている
単身赴任や長期入院で別居をやむなくされる夫婦もあるでしょう。特に単身赴任の場合は5年~10年別居をするというケースもあります。
単身赴任や長期入院が理由で別居をしている場合は、別居に正当な理由がありますから婚姻関係が破綻しているとはいえません。
しかし、正当な理由がないのに、長期間にわたって別居を続けているような場合には、婚姻関係の破綻が認められる可能性が高くなります。
婚姻関係の破綻に相当すると認められる別居期間は、同居していた期間や子供の有無、離婚を希望している側が有責配偶者か?などによっても離婚できるまでの別居期間は個別のケースによって異なります。
長期間の別居が続き、離婚条件についての話し合いや離婚の時期についての話し合いの記録があったり離婚調停を申し立てていたりすると、婚姻関係の破綻は認められやすくなるでしょう。
DVやモラハラがある
夫婦の生活においてDVやモラハラがある場合は婚姻生活の破綻が認められる可能性があるでしょう。
一言にDV・モラハラと言ってもその程度や範囲は広く、裁判で争う場合は証拠がすべてになります。
また、DVやモラハラが続いていた期間も重要となりますので、小さなものから大きなものまで長期にわたる証拠が多くあればあるほど裁判では有利になるでしょう。
動画や写真や相手からのメッセージ等をこまめに記録しておくことが重要になります。
生活費を家にいれない、給料を1円も渡さないなどは経済的DVに該当します。
DVやモラハラは受けている側はあまり気づかないこともありますし自分が悪いから仕方がないと思っていることもあったりと受けている側に自覚がないこともありますので注意が必要です。
配偶者の浪費癖や飲酒癖
夫や妻の浪費癖や飲酒癖が酷く、家庭や子供に影響がある場合は婚姻関係を維持したいという行為ではないと判断され、個別のケースによっては婚姻関係の破綻が認められたり、親権者決定に影響をする場合もあります。
裁判では「離婚したくない」などの言葉よりも、婚姻関係を継続するためにどのような努力をしてきたのか?ということが重要になります。
調停に出席しなかったり、調停中の生活態度などによっては婚姻関係の維持に努めているとは言えないと判断され、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断されることもあるようです。
具体的にはギャンブルで生活費にまで手をだしたり、子供のためのお金をギャンブルに使ってしまったり、生活水準に見合わないブランド品を数多く購入したりする行為は家族のために努力をしているとはいえない状況とみなされる可能性が高いでしょう。
同居していれば婚姻関係の破綻はハードルが高い
家庭内別居のように特殊な同居状態が長期間続いていたり、上述したように婚姻関係を継続し難い特殊が事情がなければ、同居している状況で婚姻関係が破綻しているというのはかなり難しい状況です。
不倫相手や不倫した配偶者が婚姻関係の破綻を主張してきたとしても、婚姻関係が破綻していない証拠を提出することで相手の主張を覆すことができる可能性があります。
離婚に向けた話し合いは婚姻関係の破綻を主張する相手に有利な証拠となりますので離婚を考えていないのであれば離婚の話し合いや離婚条件に関する話、「もうあなたとは生活していけません。」などの婚姻関係が破綻していることを思わせるような言動は避けたほうが良いでしょう。