夫婦が離婚する理由の1つに「お金に対する価値観の違い」というものがあります。
夫が妻に内緒で借金をしていたというケースは少なくありません。
一度目は目をつぶって返済した借金も、二度目三度目ともなると家族の将来や子供の事が心配になって離婚を決断する方もいるでしょう。
そこで疑問になるのが離婚時の財産分与で夫の借金も妻が返済しなければならないのか?という事です。
それでは夫の借金が理由で離婚する際に気をつけるポイントを確認していきましょう。
基本的に夫の借金は妻に返済義務はない
基本的に夫の借金を妻が返済しなければならない義務はありません。
借金をする方法としては、クレジットカードや消費者金融からの借金が多いでしょう。
これらのお金を借りる契約はあくまで夫が個人で契約したお金です。
妻が連帯保証人、保証人になっていない限り、妻には返済の義務はありません。
夫がお金を何に使ったのか?妻にも責任があるケース
基本的に夫が個人で借りたお金は妻には返済義務はありません。
しかし、夫が生活費としてお金を借りた場合は妻も返済をしなければならない場合もあります。
例えば、妻が夫のお給料を全部管理していて、夫に月1万円しかお小遣いをあげていなかったとします。
夫は毎日の食費、タバコやコーヒー代が足りずに借金をしたとすると、これは生活に必要なお金として借りたことになります。
また、家族の食費や生活に必要なものを購入するために、クレジットカードで分割払いやリボ払いをした場合は、これらも家族の生活費として使ったお金ですので、妻も夫と共同して返済をしなければならない場合があります。
ギャンブルや趣味にお金を使っていた場合
夫がパチンコや競馬にのめり込み、妻に内緒で借金を重ねることは少なくありません。
こういったギャンブルや趣味など家族とは全く関係なく、夫が自分のためだけにお金を使い借金をした場合は妻は返済をする必要はありません。
妻に内緒で多額の借金をしている場合はギャンブル依存症なども疑われる場合がありますので注意が必要です。
借金返済に使ったお金は返してもらえる?
夫の借金を妻が肩代わりした場合はそのお金は返してもらえるのでしょうか?
夫がギャンブルで借金をして、その借金を妻が結婚前にためていた独身時代の貯金で返済した場合は、離婚の際に妻が返済に使ったお金を返してもらうことができます。
この場合は、離婚時に夫婦共有のプラスの財産があれば財産分与で調整をするのが良いでしょう。
もし、離婚後に返済をしてもらう場合は、離婚公正証書で約束をすることをおすすめいたします。
夫が離婚後に借金の支払いができなくなり、自己破産や債務整理をする際に、離婚公正証書があれば夫の弁護士さんに約束をしたお金であるということを主張することができるからです。
借金があっても養育費の金額は下がらない
養育費を決める際は裁判所の養育費算定表を基準にしますが、養育費算定表はあくまで夫と妻の年収で養育費が決まります。
では、この年収から借金がある場合はいくらかマイナスになるのか?と思いますが、そんなことはありません。
養育費は子供と同居していない親が一番に優先して支払いをしなければいけないお金です。
家賃や光熱費や自分の生活するお金、借金返済を考えると養育費を支払うお金がありません。という方がいますが、そうではなく、養育費を支払うにはどうすれば良いのか?を考えなくてはならないのです。
養育費の支払い義務は借金があるからといって免除されるものではありません。
夫が離婚後に自己破産をしたら養育費はどうなる?
夫が借金の返済に困り、離婚後に自己破産をするという可能性も考えられます。
安心していただきたいのは、自己破産をしたからといって、養育費の支払いは免除されるものではないということです。
養育費は「自己破産によっても免責(免除)対象にならない債権」です。
こういった債権を「非免責債権」といい、養育費は自己破産をしても何の影響も受けません。
取り決めた養育費を第三者に証明するには公正証書が一番
夫が自己破産をする場合は弁護士さんに依頼をすることになるでしょう。
そうなった場合、養育費を取り決めした公正証書があれば、弁護士さんも取り決めた養育費があるということがわかりますので、養育費の支払いを考えて対応をしてくれることでしょう。
離婚公正証書がなく、口約束だけで決めた養育費は、いざという時に第三者に対して養育費を取り決めた証拠になるものが何もない状況になり、夫が突然「養育費の約束はしていない」と言い出したりするとトラブルになる可能性も考えられます。
借金を抱えた夫と離婚する場合は、自己破産や債務整理をすることを予想して、養育費を取り決めた事を第三者に証明できる離婚公正証書を作成することをおすすめいたします。
【まとめ】借金がある夫と離婚する際のポイント
・借金があっても養育費の金額には影響しない
・自己破産しても養育費はもらえる
・夫が自己破産や債務整理をすることを予想して離婚公正証書を作成しておくこと