離婚する時に考えるのが財産分与です。
持家や預貯金などのプラスの財産をどのように分与するかということと同時に住宅ローンや車のローンや、クレジットカードのリボ払いや分割払い、キャッシングなどの借金をどのようにしたらよいのか悩むこともあるでしょう。
住宅ローンや車のローンは夫婦が共同で借りたお金ですが、クレジットカードで配偶者には内緒で借りたお金はどうしたらよいのでしょうか?
この記事では離婚と借金の財産分与について詳しく解説していきたいと思います。
財産分与の対象となる借金とは
夫婦の共有財産が財産分与の対象となるように、借金も婚姻期間中に夫婦の生活のために借り入れたものは財産分与の対象となります。
しかし、夫婦の一方が結婚前に借りていた借金や、夫婦の生活のためとは言えないような使い道の借金は財産分与の対象とはなりません。
それでは具体的に確認していきましょう。
財産分与の対象となる借金
■家族の生活費のために借りたお金
毎月の生活費が足りなくて借りたお金は夫婦の生活や子供を育てるために借り入れたお金といえるでしょう。よって家族の生活のために借りたお金は財産分与の対象となります。
■家族全員で使うためにローンで購入したもの
家族のローンで大きなものは住宅ローンと車のローンでしょう。
家族で住むための家のローン、家族で使う車のローンは家族のために借りたお金といえますので財産分与の対象となります。
また、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの大型家電をクレジットカードのリボ払いや分割払いで購入した場合も、家族のために買った家電ということになるでしょう。
財産分与の対象とならない借金
■浪費のための借金
夫婦の収入に見合わない高級なブランド品や嗜好品を購入した場合は家族の生活のためにお金を借りたとはいえません。
■ギャンブルのための借金
パチンコや競馬などの負けを補填するために配偶者に内緒で借金を繰り返すこともあります。しかしギャンブルに使うために借金をした場合はいくら本人が「勝ったお金は生活費にするつもりだった」と言っても家族のためにした借金とは言えません。
■結婚前の借金
結婚する前に個人的に借りていたお金は財産分与の対象とはなりません。
借金を財産分与する方法
では実際に借金を財産分与する方法ですが、まずは夫婦のプラスの財産とマイナスの財産を足してどちらが多くなるのかが重要です。
財産が債務よりも多い場合
財産が債務よりも多い場合は、プラスの財産から夫婦の借金を返済して、残った額を二人で2分の1に分与します。
例えば預貯金が500万円あってクレジットカードの分割払いが100万円あった場合は、まず分割払いをすべて返済して残った400万円を200万円ずつ分けることになります。
財産が債務よりも少ない場合
財産が債務よりも少ない、いわゆる債務超過の場合には超過分は財産分与しません。
たとえば、プラスの財産としては500万円しかないけれど、借金が1000万円ある場合は、差し引きするとマイナス500万円ですから、債務超過の状態です。
このような場合は、夫婦それぞれが250万円ずつ借金を負担する必要はないということです。
債務超過のマイナスは誰が払う?
離婚するときにマイナスの財産の方が多く債務超過である場合、離婚後にも残る借金は誰が払うのでしょうか。
これについては、基本的には借りた人、すなわち借金の債務者となっている方が払うことになります。
また夫婦が借金の連帯債務者になっている場合には、夫婦それぞれが支払い義務を負い、一方が負担部分を超えて払った分は他方に求償できます。しかし、債務者が一方になっている場合には、夫婦で作った借金でも、連帯して支払わなければならない義務はありません。
債務者だけが支払うのは不公平
債務超過のマイナス分は債務者が支払うとすると、不公平になるのは想像するところでしょう。
たとえば、夫の転職や失業によって生活費が足りなくなり妻が自分の名義で借金をして家族の生活費に充てた場合、離婚後の借金を妻が負担するというのは納得がいかない場合もあるでしょう。
妻としては、金融機関に対しては自分が返済する義務があるとしても、払った分のいくらかは夫に返してもらいたいと思う方もいると思います。
そのような場合は、離婚時に離婚公正証書等で、夫から妻へ月〇万円支払うとして約束をすることもできます。
夫が毎月少しでも返済をしていくと約束をしてくれたら、口約束だけではなく離婚公正証書で約束をすることをおすすめ致します。
借金が大きく返済が難しい場合
借金の名義が夫であり、離婚後も月々の返済金額がかなりの金額の場合は返済が難しいこともあるでしょう。
そこへ子供のための養育費も加わると夫の生活が成り立たない状況にもなります。
借金の金額によっては自己破産や債務整理を検討して、毎月の養育費だけはきちんと支払ってもらうように生活を立て直してもらう必要もあるかもしれません。
離婚後に自己破産をすることが予想される場合は、養育費はなるべく離婚公正証書で約束をしておくことをおすすめいたします。