離婚をしたいけれど今すぐには離婚はできない。別居をするにはお金がかかる。様々な理由から離婚も別居もせずに同居を継続するという選択をしている方もいるでしょう。
家庭内別居とはよく聞く言葉ですが、実際に家庭内別居とはどのような状態のことを言うのでしょうか。また、家庭内別居をすることによってメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では家庭内別居に関する様々な疑問について解説していきたいと思います。
家庭内別居とはどんな状態?
家庭内別居とは、一般的には、夫婦としての関係は破たんしているのに、何らかの理由で離婚せず、また別居をすることもなく同居を続けている夫婦の状態をいいます。
家庭内別居について法律上の定義はありません。
別居をするにはお金がかかりますし、離婚となると子供を大学まで卒業させるための進学費用が心配になったりします。
夫としては別居をすると婚姻費用を負担しなけばなりませんし、住居費も二重でかかることになります。
妻としては離婚をするとフルタイムで働かなくては生活が成り立たず、すぐにフルタイムで働けない事情もあるでしょう。
このような場合は夫婦の気持ちとしては離婚をしたいけれど、離婚をするよりも同居を続けるほうがお互いに負担が少なく家庭内別居を選択する夫婦も少なくありません。
具体的には下記のような状態が家庭内別居と言われる状態です。
・夫婦の会話がない
・食事、洗濯、お財布が別々
夫婦の会話が最低限しかないような状況でも、妻の作る料理を家族全員で食べていたり家族で旅行や食事に行ったりしている状況では家庭内別居とは言えない場合もあります。
家庭内別居のメリット
先にも少しお話しましたが、家庭内別居のメリットは金銭面の負担が少ないことです。
同居をしていると住居費が1つで住みますし、光熱費も1家庭分ですみます。
離婚をすると専業主婦やパート主婦の妻は自分の給料だけで生活することが難しい状況になりますので、フルタイムで勤められる仕事を探す必要があります。
また、夫としては離婚することで養育費の負担や新しく住居を借りる費用が発生する場合もあります。一人暮らしになれば家事の負担も増えます。
このように同居を続けることは経済的な面で圧倒的なメリットがあるということです。
また、子供と両親が同居を継続できるのもメリットでしょう。
夫婦の関係は冷え切っていても、母親も父親も子供と仲が良い場合は同居を継続することで子供にとってもメリットがある場合もあります。
家庭内別居のデメリット
家庭内別居のデメリットは、長引くことで夫婦関係の破綻が認めらえる可能性が高くなるということです。
相手方が不倫をした場合でも、夫婦関係が破綻していれば慰謝料を請求することが難しくなります。
夫婦関係が冷え切って家庭内別居を選択するのであれば、相手が不倫をするリスクと、不倫を理由に離婚を切り出してきたとしても慰謝料の請求が難しくなる可能性を考えておく必要があります。
また、家庭内別居が長引くことで夫婦関係の破綻が認められると相手方が離婚を請求してきたときに離婚に応じなければならない可能性もでてきます。
経済的なメリットがあるかわりにデメリットがあることも把握しておく必要があるでしょう。
家庭内別居をするにはルール決めが大切
食事も洗濯も別にするとはいっても、冷蔵庫と洗濯機が1台しかない場合はルールを決めなければ揉める原因になってしまいます。
もともとの夫婦関係が冷めきっている場合、ちょっとしたことでも喧嘩になってしまうような事も考えられますので、トラブル少なく同居をするにはある程度のルールを設けることも大切でしょう。
家の広さや部屋の数にもよりますが、たいていは夫婦のどちらかが自分の部屋でこもりっきりになるような状態が多いでしょう。
家庭内別居でも収入の少ない方に生活費をわたす必要はある
離婚届を出していない以上、法律上の夫婦である状況ですから、収入の少ない側は収入の多い配偶者に生活費を請求することができます。
家庭内別居をしているということはお財布も別々という状況になりますので、家賃や光熱費をどちらがどのように負担するのか、収入の多い側が渡す生活費は月いくらにするのか?という事を決めておく必要がります。
もし、家庭内別居をしている状態で収入の多い配偶者が全く生活費をくれない状況になった場合は婚姻費用分担請求をすることも可能です。
家庭内別居の状態となった夫婦であっても、多くの場合、生活費の請求は認められると考えられます。
家庭内別居になると関係修復は難しい
夫婦の仲が悪く、家庭内別居の状態になるとその後の関係修復は極めて難しい状況になる可能性があります。
家庭内別居をすることで、夫は食事の用意や洗濯も自分ですることになりますから、妻には何もしてもらっていないという感情が強くなるでしょう。
また、妻も夫との会話が全くない状況になりますので困っていることがあっても夫は何も助けてくれないと思うことでしょう。
家庭内別居は確実に夫婦間のコミュニケーションが減少し、よほどの事がなければ話をすることも無くなってしまいます。
この状況が続けば続くほど夫婦関係の修復は難しくなるでしょう。
夫婦関係の修復を望むのであれば、早い段階で話し合いの機会を作って二人で腹を割って話し合うことが大切です。