夫婦が別居をする場合にはどちらか一方が家から出て行くか、夫婦がお互いに引越しをして別々の家に住むことになるでしょう。
その際に疑問になるのが家具や家電をどのように分ければよいのか?ということです。また、配偶者が家から出て行ったけれど私物が残っていて処分しても良いものかどうかわからないという方もいます。
私物のやりとりで離婚後に連絡をとるのも気が引けるし、なるべくなら連絡はとりたくないと思う方もいるでしょう。
この記事では離婚や別居をする際に家具や家電、相手の私物等はどのようにしたらよいのか詳しく解説していきます。
共有財産か私物かの判断
夫婦の財産は基本的に夫婦の共有財産と推定されますが、中には夫婦どちらかの私物(特有財産)になるものもあります。
まず、私物に分類されるものは下記のようなものになります。
・結婚後に夫婦の特有財産(結婚前から持っていた貯金等)で購入したもの
・夫婦のどちらかしか使わないもの(衣類や化粧品等)
別居をした際にやっかいなのは上記の私物に分類されるものです。
これらは原則として所有者が引き取らなければならず、なかなか取りにこないからといって勝手に処分することはできないのです。
勝手に処分した後に「大事なものだった!!」「必要なものだった!!」と言われた場合は損害賠償を支払う可能性もあるので注意が必要です。
離婚や別居の際は養育費や財産分与等の大きな決め事が重要になりますのでこういった私物に関する取り決めは後回しになって忘れがちです。
勝手に処分できない。連絡もなかなかとれない。となると私物を残された側としてはストレスがたまるばかりですので離婚や別居の前には忘れずに私物を処分しても良いか?について確認をしておくことが大切です。
高価な私物はどうなる?
高価な腕時計や宝石、ブランドのバックなどが財産分与の際に問題になる場合があります。基本的には夫婦の共有財産で購入したものでも、夫婦のどちらか一方しか使わないものや夫から妻、妻から夫へプレゼントしたものは私物となりますので財産分与の対象外となります。
しかし、売却すると相当な価値になる私物は財産分与の対象とされる可能性もあります。
例えば、夫婦の間の共有財産が現金で100万円の状況で、夫婦のどちらかが売ると300万円になる時計を持っている場合は財産分与に不公平感がでてしまいます。
このように売ると何十万、何百万という価値がつくものは財産分与の対象としなけば不公平になるために私物でも財産分与の対象となる場合もありますので注意が必要です。
共有財産の場合はどうするか?
基本的に私物以外のものはすべて夫婦の共有財産となります。
共有財産は財産分与の対象となり、すべて売却して現金化して2分の1ずつ分けます。
しかし、実際には売るのも面倒になったりしますので、高価な家電や家具をどちらがもらうか?という話し合いをして決めて家から出るほうが決めた家具家電とその他必要なものだけを持って出て行くということが多いでしょう。
家に残る側としても、冷蔵庫や洗濯機などの家電を持っていかれては困ることになってしまうので、出て行く側が新しい家具や家電を新しく購入することとし、その費用も含めて「引っ越し費用」として財産分与で調整することもあります。
もし、きっちりと財産分与をしたいのであれば、売れそうなものはすべて売って現金化して2分の1ずつ分けるという方法が良いでしょう。
チェックリストを作成する
離婚後や別居後のトラブルを無くすためには家具や家電のチェックリストを作って確認するのも一つの方法です。
後々「やっぱり冷蔵庫がほしい」と言われても困りますし、「くれないならお金がほしい」となっても話し合いが大変になります。
そういったトラブルを防ぐには家の中の家具や家電を書き出してチェックリストを作成し、どちらが持っていくかということを話し合うと良いでしょう。
また、家からでていくほうが「全部いらない」と言った場合も私物の一つや二つは家に残ってしまうことが予想されますので、もし私物が残っていたら処分してもよいか?という約束はしておいたほうが良いでしょう。
離婚協議書、公正証書で私物の取り扱いを決めておく
上述したように、相手の私物が家に残ったままでずっと連絡がないからといって勝手に処分をすることはおすすめできません。
場合によっては損害賠償を請求される可能性がありますし、どう見ても使わないようなものも持ち主にとっては大切なものだったりすることもあるからです。
とはいえ、ずっと相手の私物があるのも嫌ですし、処分もできないとなると困ってしまいます。
そういった問題を無くすためには、離婚協議書や離婚公正証書を作成する時に私物の処理方法について合意しておくことが良いと思います。
例えば「〇月〇日までに引き取らなかった私物については所有権を放棄する」という文言を離婚協議書や公正証書に入れることで、期日を過ぎたら相手方の私物を処分することができるようになります。
また、残っている私物は実家や新しい住所に送るというように決めておくのも良いでしょう。
このように離婚の際に私物について取り決めをすることで離婚後のトラブルを防止することができますので離婚時に書面を作成する予定の方は私物に関する項目についても検討すると良いでしょう。
離婚協議書、離婚公正証書の作成を考えている方は、夫婦問題を専門に取り扱っている当事務所へ是非ご相談ください。