別居中や離婚後は、妻が子供と一緒に妻の実家に帰って生活をすることもあります。
そうなった場合に、妻は住居費を払っていないのだから、婚姻費用や養育費の金額はどうなるのか?という疑問があるでしょう。
妻が住んでいる家の住宅ローンを夫が支払っている場合も同様です。
妻が家賃や住宅ローン等の住居費を負担していない場合の婚姻費用や養育費について解説していきます。
実家に住んでいても婚姻費用・養育費は減額されない
妻が自分の実家に住んでいるということは、賃貸住宅であれば妻の両親が家賃を支払っている状況です。
持家であれば妻の両親の資産ということが多いでしょう。
この場合は、夫が妻の住居費を負担しているわけではなく、妻の両親が住居費を負担していることになりますので、それを理由に婚姻費用や養育費が減額されるということにはなりません。
ポイントは、妻や子供が生活するための費用で夫が負担しているものがあるかどうか?ということです。
妻が実家に甘えて働かない
妻が実家に帰ってから、実家の両親に甘えて全く働かない。
こういった場合も婚姻費用や養育費は妻の年収を「0円」として計算をしなければならないのでしょうか?
妻が働ける状況であり、働ける能力があるのにもかかわらず働いていない場合は、妻は年収〇円くらい働ける能力がある。として算定表で計算されることもあります。
妻が過去に働いていた職歴があったり、資格があったりする場合は実際に働いていた時の年収を参考に判断されることもあるでしょう。
夫名義の賃貸住宅に妻が住んでいる
別居中は夫名義の賃貸住宅に妻と子供が住み続け、家賃を夫が負担しているということもあるでしょう。
この場合は婚姻費用から夫が負担している家賃分が減額される可能性があります。
理由は、賃貸住宅という性質上、家賃の安い家に引っ越すことが可能であるという側面があるからです。
また、婚姻費用は妻と子供が生活していくためのお金であり、もちろん住居費も含まれています。
その為、住居費を夫が負担している場合は婚姻費用が減額される可能性があるのです。
夫が不倫相手の家に行ったまま帰ってこない
夫の家出の原因が不倫であり、不倫相手の家に行ったまま帰ってこない。こういった場合は単に夫が家賃を負担しているからといって、婚姻費用がそのまま減額。とはならないようで、夫に不貞行為があったことが考慮された事例もあるようです。
妻の立場からすると、ある日突然夫が家から出て行き、不倫相手の家に転がりこんで生活費を支払ってくれない。という状況は死活問題でもあります。
しかし、婚姻費用を請求するための調停をする場合は、不貞行為を証明できる証拠がなければ、夫が不倫をして勝手に家をでていったという主張をすることができませんので、証拠の有無はとても重要です。
夫が妻の住んでいる住宅の光熱費を負担している
夫が妻の住んでいる賃貸住宅の家賃を負担しているのと同様に、電気・ガス・水道等の光熱費や、携帯電話代を負担している場合も、婚姻費用や養育費が減額になる可能性があります。
光熱費は自動引き落としの場合が多く、夫の口座からの引き落としを続けている場合や、携帯電話は家族間割引等があるため、家族まとめて契約をしている事もあるでしょう。また、携帯電話とインターネットも組み合わせれば割引が適用となるため、すべて夫の口座からの引き落としにまとめている事もあると思います。
これらの料金を別居中や離婚後も夫が負担している場合は、婚姻費用・養育費がその分減額となる可能性があります。
光熱費の支払い変更は、手続き先が複数あるため「面倒だなぁ。」と感じる事もあるでしょう。
しかし、こういった手続きを後回しにしていると、後のトラブルの原因になりますので、別居する際や離婚をする際は早めに妻の支払いに変更する手続きを済ませることをおすすめ致します。
夫が妻と子供の住んでいる持家の住宅ローンを負担している
妻と子供の住んでいる持家の住宅ローンを夫が負担している場合は、賃貸住宅の家賃を負担しているのとは少し状況がかわります。
持家は「資産」ですので、別居中の夫が住宅ローンを払うことは資産形成の側面がでてくるからです。
とはいっても、住居費を夫が負担していることには変わりないですので、婚姻費用が減額となる可能性があります。
離婚する場合はまた、話が異なります。離婚時の財産分与で持家をどうするのか?残りのローンをどうするのか?を決めることになり、それとは別に養育費の金額を決めます。財産分与の取り決めと養育費の取り決めはそれぞれ別に決めるということです。
婚姻費用分担請求・養育費請求を申し立てる
二人の話し合いでどうしても婚姻費用や養育費の金額が決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるのも一つの方法です。
別居や離婚となった場合はお互いの生活費をきちんと分けることがトラブルを回避する方法ですが、夫婦それぞれの事情があり、きれいに分けることができない場合もあるでしょう。
そのような場合、きっちり計算して金額を決めるのは難しいところもありますので、調停を申し立てて客観的に判断してもらうことでお互いに納得ができるという場合もあります。