妊娠、出産を機に夫婦の絆は深まるものですが、一方で妊娠、出産が原因となり夫婦の溝が深くなってしまい、離婚という決断をする夫婦も少なくありません。
面会交流は権利だということは解っていても、子供が乳幼児期の場合は面会交流をしたくないと考える方もいるでしょう。
それでは乳幼児期の子供の面会交流について解説していきます。
面会交流は権利だけど・・・
面会交流は子供と別居する親が子供と会う権利です。
基本的に正当な理由がなければ面会交流を拒否することはできません。
しかし、赤ちゃんのお世話をする母親はとても大変で、体調や精神面でも不安定な方もいるでしょう。
父親の育児サポートがあっても大変な時期なのに、夫婦仲が悪くなり離婚となると精神面での負担はかなり大きなものになると思います。
また、赤ちゃんが産まれたばかりの離婚は、夫婦の関係が悪化していることもあり、顔を見るのは絶対に嫌!!名前も聞きたくない!!と精神的に負担を感じる方もいることでしょう。
乳幼児の面会交流の方法
乳幼児は自分の事は一人でできず、オムツ替えや授乳のお世話が必要です。
母乳のみで育てている場合は、授乳の時間がありますので、父親と赤ちゃんが2人で交流をするのはまず難しい状況と言っても過言ではありません。
泣き出した時にはお母さんの抱っこでしか泣き止まないという赤ちゃんもいます。
赤ちゃんのお世話が大変な場合は下記のような面会交流方法もあります。
・写真や動画を送ることで間接的な面会交流を実施する
・オンラインでビデオ交流を実施する
・母親側の祖母や姉妹に同席してもらい面会交流を実施する
面会交流をすることで母親の体調が悪くなる
産後はとにかく母親の体調管理が大切です。父親と子供を会わせることによって母親の体調が悪くなり、日々の子育てに影響があるようなら、子供が大きくなるまでは写真や動画を送る間接的な面会交流を実施して、歩けるようになる頃に実際に少しずつ会うことを始めるように父親に相談してみるのも良いでしょう。
それでも父親の理解が得られない場合は弁護士さんに相談をすることをおすすめいたします。
生後6ヵ月未満は物理的に難しい
生後6ヵ月未満の赤ちゃんは、長時間のお出かけはしたことがなかったり、お母さん以外の人にはまだまだ慣れていない状況です。
母親が車を使えない場合は公共の交通機関を利用するのも一苦労。
そんな状況で面会交流を実施することは物理的に難しい状況と言えるでしょう。
面会交流ができない期間は写真や動画等を送って子供の様子を共有することが大切です。後に調停になった場合も、写真や動画の共有がある場合は有利になることもあるからです。
人見知りが強い/イヤイヤ期
人見知りの時期になると、おじいちゃんおばあちゃんの顔をみただけでしばらく泣き続ける赤ちゃんもいます。
イヤイヤ期になると、何をするにもイヤイヤ。毎日一緒にいるお母さんでも機嫌が悪くなるタイミングをうまく掴めないこともあります。
こういった乳幼児期特有の状況になると、面会交流の時間にずっと泣かれる、ずっとイヤイヤされるという事になり、面会交流が困難な時期もあるでしょう。
父親には日々の子供の様子を共有して、面会交流ができない時期もあるということに理解をもってもらうように伝えていきましょう。
おじいちゃんやおばあちゃんや友人に会った時の様子を動画で共有したりすることで理解をしてくれる場合もありますので日々の子供の様子を共有しておくことは大切です。
ずっと面会交流ができないわけではない
3歳を過ぎた頃になると、お話も上手になり、会話でのコミュニケーションができるようになります。
食べたい、遊びたい、これがほしい、こっちは嫌などの意思疎通もできるようになりますし、長時間の遊びにも慣れてくる頃でしょう。
この頃には2~3時間なら父親と二人でショッピングモールに行ったり、子供が遊べるキッズスペースに行って軽食をとって帰ってくることもできるようになります。
乳幼児期に面会交流ができないからといって、それがずっと続くわけではありません。
子供は成長しますので、乳幼児期は写真や動画等の間接的な交流に留め、父親と二人でお出かけができるようになった頃に面会交流を実施すると母親・父親どちらにも負担が少なくなると思います。
どうしても父親が会わせろと言ってくる
赤ちゃんの状況やこちらの事情を説明しても父親がなかなか理解をしてくれないという事もあるでしょう。
そもそも話し合いができるなら離婚になっていなかった。という状況もあるかもしれません。
まずは子供の状況を説明して理解をしてくれるようにお願いをしましょう。それでも理解をしてくれないようなら弁護士さんに相談をすることをおすすめいたします。
面会交流の調停を申し立てる
面会交流の調停は子供と会わせてもらえない親が、子供との面会交流を求めて申し立てるイメージがありますが、面会交流の条件について話し合いがまとまらない時に申し立てることもできるものです。
乳幼児期の面会交流について写真や動画等の間接的な交流に留めてほしいという母親側の意見を父親が認めてくれない場合はまさに話し合いがまとまらない状況ですので、母親が調停を申し立てることも可能です。
しかし、原則は面会交流はしたほうが良いという考えのもとで調停はすすみますので、そこを前提に考えておきましょう。
また、裁判所で試験的に子供と父親の面会交流を実施することもあります。
母親から離れた瞬間に子供が大泣きをはじめて泣き止まず、その実態を目にした父親が子供が大きくなるまでは間接的な面会交流で良いと理解を示したケースもあるようです。
離婚をする時に面会交流について条件を決めておく
離婚をする際に離婚協議書や離婚公正証書で面会交流の頻度や面会交流の方法の詳細を決めておくことで、ある程度、離婚後のトラブルを未然に防止することができます。
離婚時に面会交流についてうやむやにしておくと、離婚後のトラブルになる可能性がありますので、子供の面会交流についてはしっかりと約束をしておくことをおすすめ致します。